みなさん、ごきげんよう。FP黒田です。
金融のプロというイメージが強いかもしれませんが、私たちFPにとって、税制や法律の改正は大きな関心事のひとつ。
そして今まさに来年の税制改正に向けて、本格的な議論が高まっています。
ここにきて、来年こそは実現すると思われた「配偶者控除」廃止が、見送りになりそうな雲行き。
さらに、妻の収入の上限を103万円から150万円に引き上げるという案まで浮上。
それでは、廃止どころか拡大ではありませんか!!
今年10月から始まっている、社会保険の加入対象者の拡大によって、新たに「106万円の壁」ができ、いくらで働くのがトクなのかというシミュレーションを散々させられた後なので、さらに、新しい壁ができるのかっ、とゲッソリした次第です。
妻がどれくらいの年収で働いたらベストなのかという損益分岐点の計算をややこしくしている原因は、この「配偶者控除」にあります。
<配偶者控除金額の計算方法>
つまり、収入によって、妻本人の手取りがどう変化するかは、税金(住民税や所得税)と社会保険料(健康保険or国民健康保険、厚生年金or国民年金、介護保険(40歳以上)など)がどれだけ徴収されるかを計算するだけなので、そんなに難しくはありません。
一方、配偶者控除や配偶者特別控除は、夫の収入に関わる所得控除。これが適用されるかどうかで、夫の所得から差し引かれる金額が変わるので、丸々受けられると、夫の税金が少なくなり、手取りが増えるというしくみです。
さらに、夫の会社に配偶者手当などがある場合、多くの企業は、配偶者控除が適用になる妻を対象としているので、ダブルで手取りが増えるわけです。
要するに、世帯収入がどうなるか正確な金額はケースバイケースである、というお答えになります。
でも、税金や社会保険の知識がなければこの計算はできません。
なので実際のところ、「難しくてよくわかんないけど、子どもが小さくてそんなに長時間働けないし、多分、夫の扶養の範囲で働いていた方がトクなんだろうなあ」という人が多いのではないかとにらんでいます。
ですから!
さらに、どう働けば良いか悩めるパート主婦たちを混乱させるような改正は止めていただきたい!!
もっとシンプルに、わかりやすくっ!
この手のコラムの締めくくりとして、専業主婦優遇措置が終焉を迎えるのはそう遠くないので、これからは女性も長期間、安定して働けるような環境作りを・・・的な結論の意味は、みなさん、重々承知ですよね。
でも、色々な事情があって、フルタイムでバリバリと働けない人もいる。
女もコドモも年寄りも、とにかくみんな働け、と尻を叩くばかりではなく、多様な働き方やキャリアを受け入れる柔軟な社会を形成する社会を作ることこそ、重要なのではないでしょうか?
でもね。夫の扶養から外れるというのは、意外になんだか気持ちの良いものなのです。
私のキャリアの大先輩である70代女子Iさん曰く、
「子育て期間中、夫の扶養に入っていて、一々健康保険証を貸してくださいって夫にお願いするのが、本当に苦痛だった。職場に復帰して、自分の健康保険証が作れてすごくうれしかったわ」
その当時は、家族全員1枚の保険証だったのですね。
扶養に入っていると、守られているみたいで安心するという人もいらっしゃるでしょうが、こんなお気持ち、お分かりいただけますか?
ああ、急ぎの原稿を書ねばならないところ、何となく書きたくなって、ついブログの方に没頭してしまった~!!まずいっ(苦笑)。