みなさん、こんにちは。FP黒田です。
3月5日、みずほ丸の内タワーで開催されたセミナーに参加してきました。
2025年12月の税制改正大綱では、iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型確定拠出年金(企業型DC)に関する見直しが大きく盛り込まれました。
改正のおもなポイントを整理すると以下の通り。
<①拠出限度額の引き上げ>
●企業型DCとiDeCoを併用する会社員・公務員
・拠出限度額が月額5.5万円→6.2万円に引き上げ
・企業年金のない会社員の場合、iDeCoの掛金上限が月額2.3万円→6.2万円に大幅増
●自営業者(第1号被保険者)
・iDeCoの掛金上限が月額6.8万円→7.5万円に引き上げ
<②iDeCoの加入可能年齢の延長>
・iDeCoの加入可能年齢が「65歳未満」→「70歳未満」に拡大(企業型DCの加入年齢は70歳未満のまま、据え置き)
<③マッチング拠出の見直し>
・企業型DCでは、現行では、加入者の掛金が事業主掛金を超えないという制限あったが、この要件を廃止(つまり、加入者が事業主掛金額を上回る掛金を拠出できるようになる)
<④退職所得控除の調整規定見直し「5年→10年」>
・現行では、退職金より先にiDeCoや企業型DCを老齢一時金として受け取る場合、5年経過して退職金を受け取ると退職所得控除を重複して計算できる
・それが、10年未満に退職一時金や他の企業年金の一時金を受け取る場合、退職所得控除の計算における勤続期間の重複が除外される仕組みが導入
セミナーでは、上記の改正の内容だけでなく、企業型DCやiDeCoの業界全体データ、みずほ銀行さんのデータ、証券会社や銀行、保険会社が提供している各社のiDeCoの特徴、みずほ銀行さんが注力している企業型DC、iDeCoのサービスについての説明がありました。
とくに、FPとしては、業界全体の加入者の契約状況(年代、平均投資額、残高、商品分類等)は興味深かったです。
また、iDeCoの各社比較について、SBI証券、楽天証券が加入者数等の上位に挙がっているのは予想通りとはいえ、みずほ銀行さんでも、この2証券の次いで注力しておられるとのこと。
失礼ながら、意外でしたが、業界の動向や背景についてお話を伺うと、なるほどとうなづける内容が多かったです。
改正に関しては、上記①~④が見直されたことで、プラス月額7,000円とはいえ、企業型DCやiDeCoによる資産形成の額が確実に増えるわけですから、今後、ご相談は増えるでしょう。
また⑤に関しては、個々の状況によって、どのように受け取るべきかはさまざま。受取時の税制優遇を最大化するためのプランニングが一層重要になるはずです。
ただし、税理士資格を有しないFPは、税務を絡めた個別具体的な相談ができず、あくまでも一般的な事例の説明だけにとどまらざるを得ません。
最近、積み立てた資産をどう取り崩すかの議論も出てきましたが、公的年金や企業年金、iDeCo等も含めて、どのようにすべきか、しっかり考えなくてはならない時期になりつつあります。